第29章 決意〜相澤消太〜
そうこうして帰り着いたのは前回よろしく午前様だった
以前みたいに自分でドアを開けることが出来ないという程では無いが、酒の味を堪能する気分じゃなかったので前よりは飲んだような気がする
だけど意識はハッキリとしてるし足取りもしっかりとしていた
もう寝ているであろう華を起こさないようにそーっと自室に入りポスンとベッドに腰を下ろす
少し頭が回らない思考で考えるのは華の事
どう言えば彼女を傷付けないのか、いや どう言っても傷付けるのではないかと思う
華が家族と一緒に過ごして欲しいのもまた事実
だけど自分の側にいて欲しいというのも本音だった
華が幼い頃はただ俺に懐いてくる可愛い妹のようにしか思ってなかった
だから本当に最初は華の言う通り嫌々だった
彼女も嫌がっていたからその内に嫌な相手との同居に根を挙げるものだと思っていた
だが、思っていたよりも2人の同居生活は快適で居心地が良かった
何より、華の笑顔を見るとこっちまで嬉しくなった
それが月日が経って彼女が成長していき、顔を合わせるようになって色々な仕草や表情を見て自分の心の奥から何かが滲み出るのがわかった
もっと笑顔が見たい
もっと側にいたい
この感情が何なのか自覚すると必然的に答えは出てくる
単純だとか言われようが華に惹かれているのは真実で
その感情があるからこそ上手く考えがまとまらない
自分はこんなにウダウダと考え込むような人間だったか?
それとも彼女だからこんなに考え込むのか?
どっちにしろ決めるのは華自身で決めることだ
だけどアッサリと行く!と言われたらどうしようか?
潔く スルリとその手を離してしまえるのだろうか
万が一の確率で 行かないなどと言ってくれればいいのにと都合のいい淡い期待もどこかで持ってしまっている
だけど彼女を預かっている立場上は自身の気持ち云々、ちゃんと伝えなければならない
そう思って伝えた
まさか華がそんな事を考えて過ごしていたなんて全く考えもしなかった