第29章 決意〜相澤消太〜
家族であるのならば当然の思いだろう
ましてや口では信用していないわけじゃないといいながらも少なからずは心配するだろう
それも大事な1人娘だぞ?俺に預けるって提案して来たのにも正直驚いたんだからそう思うのも当たり前の事
2人も離れて過ごすのは転勤の間だけだと納得したから預けたのだろうが、これが永住となると話は別になってくる
転勤はちょこちょこ華に会いに帰って来れるが向こうにずっとってなるとなかなかに会いに来れるのは難しい
それなら早い段階で華と共に住むことを提案しに来たのだろう
「あっ!言っておくけど今回帰って来たのはホントたまたま休みが取れただけなんだからな」
「わかってますよ」
きっと用意周到な秋彦さんだったら絶対に事前に予定を組んでやってくるのだろうから本当に偶然がただ重なっただけだろう、俺としては最悪な重なり方だったがこれは黙っておこう
「だから消太に華を納得させて欲しいんだよ」
「・・・・は?」
どうすれば だからの話になるのだろうか?こういう話をするのは親の口からがいいのではないのか
「華は消太の言った事には耳を傾けるはずだよ、そう思わないかい?」
「いや、全く」
「冷たいなぁ、仮にも一緒に住んでた仲だろう?」
「一緒には住んでるけどそれとこれとは話が別でしょう」
秋彦の言葉に消太は呆れるように答えると秋彦はフーンという風に消太を見た
そんなそっけない消太の様子に「素直じゃないなぁ」と笑った
「?どういう意味です?」
「そのまんまの意味だけど?」
秋彦の言葉に眉間に皺を寄せて尋ね返す消太に「お前は昔から変わらないよな」
「自分の気持ちを隠そうとすればする程素っ気なくなる」
秋彦はトンっと消太の胸を人差し指で指してじっと見つめる
「別に俺はお前がそれで良いのなら何も言わないよ?でも時にはさ、素直になることも必要だと俺は思うよ」
「俺は別に・・・・「だったら言えるよな?」
被せるように秋彦は言うと話は終わったと言いたいのか消太のグラスにドボドボと酒を注ぎ出した
「さぁ!飲んだ飲んだ消太!今日は僕の奢りだよっ」
勧められた酒を飲むも、秋彦の言葉が気になって酒の味がしなかった