第28章 思い〜相澤消太〜
急に正面に座ってきて真剣な顔をして華を見る消太に何故だろう、嫌な予感しか華はしなかった
昨日、絵里から突然あんな事を言われたからだろうか
タイミングよく両親が帰ってきたからだろうか
どれも何かが引っかかって落ち着かない
ただ、今話を聞いたら、この環境が 関係が変わるような気がしていた
「あ、私、ちょっとコンビニに・・・・・」
「話終わってからでいいだろう、座れ」
そう言いながら立ち上がろうとする華を目で制して再び座らせるとふぅっとひと息付いて言いにくそうに消太は口を開いた
「お前、もう少ししたら両親のいる海外へ行け」
「・・・・・は?」
突然出た消太の言葉に目の前が真っ暗になった
昨日から一体何なんだろうか、急に言われる現実に頭の整理もつかなければ心の整理も出来ていないというのに更に聞きたくない言葉を突きつける気か
そもそもなんでこのタイミングで言うんだ
いや、このタイミングだからこその言葉なのか
雄英で起きる事件 生徒を守るために寮に入る事が義務づけられた
消太くんは担任だから必然的に寮の責任者となるから私とは離れてしまう
最初は正直戸惑った。だけどお互いの立場を考えればこそどうにか納得しようかと自分の中で整理をつけ始めようとしていた矢先に更なる問題を突きつけて来た
一方的な言い方で華の中に僅かな苛立ちが顔を出した
「丁度 秋彦さん達も帰ってきてるし、そういう話をじっくりするのも悪くないんじゃないか?」
「ま・・・・待って待って!もしかして消太くんパパに何か言われた?」
「何でそう思う?」
「いや、だってパパは最初反対してたし、急に帰って来て消太くんの口からそんな事言うなんて。誰だってそう思うでしょう」
パパに何か言われたなら消太の言葉の流れは分かる。消太くんはパパに逆らえない節があるからそう口にするのだろうと勝手に解釈した
だがその解釈はガラガラと崩れる事となる