第28章 思い〜相澤消太〜
「・・・・いや、これは俺が勝手に考えた事だ、秋彦さんは関係ない」
返って来た返事に華は意味がわからなかった
じゃあ今の今まで黙っていたのは何でなのか、もっと早く言ってくれても良かったんじゃないのか
消太くんはいつ親元へ帰れという機会を伺いながら過ごしていたのか
そう思うと今までの自分の行動が悲しくなった
これじゃあ 自分が馬鹿みたいじゃないかとすら思った
「消太くんはそんなに私と一緒にいたくないの?」
ポツリと言った華の言葉に僅かに消太の瞳が揺れた
「ちがっ…」
「そうだよね、そりゃあ最初はお互いに嫌がってたんだから当たり前だよね」
俯いてぎゅっと拳を握りしめる華の姿に思わず消太は華の手を掴んだ
「私ね、勘違いしちゃった 消太くんが昔みたいに優しかったから欲が出ちゃったの」
「…欲?」
華の思わぬ言葉に消太は疑問の声を掛けた
「ホントはね、消太くんの想いを断ち切るために雄英に入学したの」
ポツリと聞こえた言葉に消太は耳を疑った
俺への想い?一体何を言われてるんだ?
「なのに いきなり同居になるわで気持ちの整理もつかないし散々、しまいにはもっと想いが強くなっちゃった」
へへっと自分を嘲笑うかの様に小さく笑えばやんわりと消太の手を離した
「私、消太くんのお嫁さんになる為に頑張ったんだよ」