第27章 理由〜相澤消太〜
絵里とタクシーで向かったのはイタリアンの店だった
席に案内されてメニューを広げると、どれもこれも美味しそうなものばかりで目移りしそうだ
「ここのお店ね、初めて秋彦さんとデートした場所なの」
「へぇ、じゃあこのお店はパパとママの思い出の場所なんだね」
色々なメニューの中からここはパスタとピザがオススメよというのでパスタをそれぞれ選んでピザはシェアすることにした
店員さんに注文をすると絵里がお絞りで手を拭きながら昔を思い出すようにそう口にした
「消太さんとは仲良くしてる?」
急に消太くんの話を振られて鼓動がどくりと音をたてた
「う・・・・う〜ん、多分まぁまぁ?」
「そう、それなら良かった。華ちゃん急に消太さんと距離置くようになってたから心配だったの」
「えっ?!それ分かってて同居させたの!?」
ふふっと笑う絵里の言葉に驚いたように目を丸くした
「だって、華ちゃん昔は消太さんの事大好きだったじゃない?だからまた仲良くなれるかなぁって」
その様子ならまた仲良くなれたかしらと言う絵里に華は開いた口が塞がらなかった
「わ・・・・私が消太くんの事嫌いなままだったらどうするの」
「あら、本当に嫌いだったら今まで同居なんてしてないでしょう?それに、今でも好きなんだって分かるから」
運ばれてきた料理にいそいそと手を付けながら絵里はさらりと言う
「ママは私が消太くんの事好きなのは平気なの?ほら、昔から言ってるけどこう・・・年とか」
それ以前に娘を想い人の家に同居させて何とも思わないのだろうか?嫌、この親なら平気なのかもしれない
「あら、今時年の差何て気にならないじゃない、それに貴方が幸せならそれでいいの」
ハッキリと目をまっすぐに見つめられて告げられた言葉はストンと胸に落ちた
「それよりも、学校生活の事とか消太さんとの生活とか華ちゃん自身の口から聞きたいわ」
そう笑って言われた