第24章 すれ違い〜相澤消太〜
「もうそれでいいよ。消太くん以外には作らないから、これでいい?」
「・・・・ん」
そう頷くと手に持っていた箱を華に差し出す
「これっていつも行列のケーキ屋さんの箱っ」
受け取った華は箱のラベルを見て驚いた顔を向けた
「何が美味いか良くわからんから適当に選んできた」
「え〜嘘っ!沢山あるの?」
いそいそとテーブルに箱を開けてキャーキャーと叫ぶ様子に消太はほっとした
「早速食べなきゃ」
嬉しそうにキッチンへと向かう後ろ姿に「夕飯前だぞ」と声を掛けると 一個だけ〜と弾む声が聞こえた
「はい、消太くん。コーヒーとお皿」
トレーにコーヒーとケーキ用の皿を乗せながら席に着くと華は早速ケーキの箱に手を伸ばしていた
「ん?消太くんは食べないの?」
自分の皿にショートケーキを乗せるとどうぞというように箱を差し出した
「俺はコーヒーだけでいい・・・・それにさっき美味いのを食った」
言いながらコーヒーを飲む様子に少し照れたように「そ・・・・そう」といって自分のケーキをブスっと刺した
「んんっ!これはうまっっ!」
口に入れて嬉しそうにする様子をじーっと眺めていたら、ふと目が合ってはにかむように笑った
その笑った顔を見た瞬間に
自分の中にあったモヤモヤの正体が
分かったような気がした