第24章 すれ違い〜相澤消太〜
華が夕方に帰ると部屋は電気が付いているが、そこには消太の姿はなかった
その空間に華は少しほっとしたようにテーブルに荷物を置いた
気分を変えようかと思って1人ショッピングをしようと街に出かけていたが
やっぱりどうも気分が晴れなくて夕飯の材料を買って早めに帰って来ていた
材料を冷蔵庫に直していると
玄関からガチャガチャと鍵を開ける音がして消太がリビングへと入って来た
「あっ・・・・あぁ、もう帰ってきたのか 早かったな」
「・・・・・うん」
消太に話しかけられたものの、どう答えていいのかわからなくて目を合わせないように短く返事した
「・・・・これ、お前に」
そう言いながら消太は持っていた小さな箱を差し出した
「なに、これ」
「マフィンの礼だ」
言いながらクイっと顎で指したゴミ箱には捨てたであろう消太へと作ったマフィンが無くなっている
「えっ!?あれ食べたの!?捨ててあったじゃないっ」
思わず声を荒げてしまった華に消太は淡々と告げた
「ラッピングしてあったから大丈夫だ。それに俺のだろう?」
「だって消太くん そんなものは食わんって言ったじゃないっっ!」
あまりにも何事もなかったかのように言う消太にカッとなって大声を出してしまった口をハッと押さえた
「それは・・・・華がアイツらに愛想振りまいてるから」
「は?愛想って何?私はただお菓子を食べて貰ってただけでしょうっ?」
理不尽な言葉にムッとしながらも大声を出すまいと拳を握りしめた
「手作りを配るなんて愛想振りまいてるとしか思わんだろ」
「それは、材料が余ったから作っただけで「俺にしか作らないって言った」
ボソリと聞こえた言葉に一瞬華の思考が停止した
「お前の味を知ってるのは親以外で俺だけだと思ってたから別の奴らが知ったって思ったらこう、モヤモヤ〜って」
「そ・・・・・それは焼きも・・「そうだ、親心だ」
じわじわと華の中で期待が膨らんで思い切ってそう切り出そうとすると
全然違う反応の答えが返って来て思わずガクッとなる