第24章 すれ違い〜相澤消太〜
朝、目が覚めたら何故だか自分の部屋のベッドだった
何故だろうと少し頭痛のする頭に手を置き昨日の出来事を思い出す
昨日は確か華に当たってしまった罪悪感を消したくて久し振りにマイクからの誘いに乗った
ここのところ誘いを全て断っていた それは華が家にいるから仕方なくという事ではなく自主的に早く帰っていた
早く帰ると華と一緒に食事をすることが出来る
その時間の中で出来る当たり障りのない会話が消太には心地よかった
まるで昔に戻ったように いや、それ以上に華に近付けた気がした
だから自分が1番彼女に近いと思っていた矢先にあの光景
その光景と華に口にしてしまった言葉を少しでも押し込めたくて酒に逃げた
普段はあまり酔わないのに久し振りに飲んだのとピッチが早かったのと自分の中のモヤモヤが混ざって悪酔いした
水を飲もうかと思って部屋を出てリビングへ出るとシンっと静まり返っていた
キッチンに向かうとダイニングテーブルには1枚のメモが置いてあった
『出掛けて来ます。』
一言だけ綴られた文字にため息が漏れた
これは・・・・・相当傷付けたと思った
それはそうだ。彼女にしてみればどうして怒られたのかはわからないだろう
そもそもあそこで怒られるのも理不尽な話だ
休憩時間なのだからどの教室に行き来しても問題はない 普通ならわかりそうなものだ
だけど、咄嗟に口から出てしまっていた
自分のモヤモヤした感情を彼女に向けてしまった
気持ちを落ち着かせようと棚からコップを手に取り蛇口から水を入れて喉に流し込む
ふと目についたのはゴミ箱に投げ捨てられていた昨日のマフィン
何で捨てられているんだ?失敗したのか?そう思うが綺麗にラッピングしたまま捨てられていたので違和感を覚える
何気なく拾い上げれば何やらカードが付いていた
消太はそのカードに目を通すと目を見開いた
これは、自分の為に作ってくれたのか
丁寧に書かれた「食べてね」の文字に再度後悔が襲った
知らなかったとはいえ酷いことを言ったんだと口元を押さえる
少し小ぶりなマフィンはブルーベリー入りで美味しそうだ
ゆっくりとラッピングを剥がしてマフィンを取り出した
口に運ぶと優しい甘さが広がった
「・・・・美味いな」
そうポツリと呟いた