第5章 恐怖の島で過去は巡る (スリラーバーク編)
「へぇ、ケルベロスか・・・地獄の方が安全だろうに。」
「あら、可愛いわね。」
「あいつ、ケンカ売ってねぇか?」
「生意気だな・・・。」
「お、ウメェのかな?」
(えぇ〜〜〜ッ!?)
後にも先にも、ケルベロスと同じ気持ちになったのはこの時ぐらいしかないだろう。
最初の言葉からサンジ、ロビン、フランキー、ゾロ、ルフィが発言していた。
みんなケルベロスを前にしてその反応は意味がわからないよ。
私だったら一目散に逃げるし、なんなら今も最後尾でみんなの陰からそれを覗いているくらいだ。
ケルベロスは、ぐるるるると唸って戦闘態勢に入る。
「じゃ、おれが。」
「いや待てよ、手懐けてみよう。」
ルフィがニヤリと笑って、ケルベロスにお手を要求するが「ワンワンコーン!」とケルベロスはガブリとルフィの頭と腕を噛んだ。
まあ、当たり前だろう。
ここにいるということは完全なる番犬だ。
「よしよし、いい子だ。」
ルフィはそうやってケルベロスをなだめる。
そうすると、ケルベロスがルフィから離れていく。
「こんにゃろ!」
離れた隙にルフィがケルベロスをガン!と殴った。
ぐったりとしたケルベロスに伏せのポーズをする。
私たちは呆れたようにルフィを見ていた。
ケルベロスは傷や縫合痕がとても多くあり、動いていることが不思議で仕方ない。
そもそも、1匹「コーン」て言ってたし、狐じゃん。
この人たちと居れば百人力すぎる。
みんな幽霊の類を一切怖がらないし楽しんでいる。
むしろ、彼らが怖い。
ルフィとフランキーは起き上がったケルベロスに跨り、私もそれにあやかってケルベロスに乗せてもらった。
きっと、ケルベロスに乗るなんて経験は一生に一度だろう。
門を抜けて、目の前に森が広がる。
不気味な森が・・・んん??
木と馬と目があった。
目が、合った?
「おっさんの木とユニコーンが一杯やってる。」
ルフィがボソリと呟いてから、嬉々としてそれらを捕まえる。
「お前ら!おれと一緒に海賊やら「「ふざけんなぁ!!」」
それはダメだよ、ルフィ。