第11章 過去の傷跡
『ごめんね、私のせいで迷惑かけちゃった』
まさか、こんなところで彼に会うとは思っていなかった。
今でも少し手が震えて、心臓もばくばくと鳴っている。
「クレア、あいつは一体誰だ」
ゾロがじっと私の顔を見つめながら問いかけてくる。
「さっき自己紹介してたじゃねェか、なんとか海賊団のなんとかって」
『べトレイ海賊団のレイヴィスね』
ルフィが全く名前を覚えていないので、訂正を入れる。
おそらく、この先も覚えないような気はするけれど。
「ちょっと! なんか変な騒ぎになってたけど、迷惑かけたんじゃないでしょうね!」
遠くから、ナミの怒声と共にロビン、フランキー、ブルックも現れて一味が集結した。
「ち、違ェよ! オレたちが変なやつが絡まれたんだぜ! オレ達っていうか……主にクレアが……」
ウソップが、私の様子を伺いながらも、ナミに怒られないように状況説明をした。
それによって、全員がこちらを見つめる。
『私は……昔、リノスと一緒にべトレイ海賊団の船に乗ってた』
みんなが驚いたようにこちらを見つめる。
ルフィだけが顔を輝かせて「なんだよ! オレたちと会う前から海賊だったんだな!」なんて呑気に言ってのけた。
そして、ナミに思いきり頭をはたかれていた。
『仲間だったわけじゃないよ、私とリノスの力を一方的に利用されていただけ。だから、私たちは命がけで逃げ出したの』
みんなが何て声をかけていいかわからないようにしていたので、私は笑顔を取り繕ってみせた。
『でも、全然大丈夫! 今はこうしてみんなに出会えたし、リノスも海軍でしっかりやれてるんだから!』
そう明るく振舞ってみたけれど、みんなの心配そうな表情に全く変化はなかった。