第5章 恐怖の島で過去は巡る (スリラーバーク編)
ベロリ
その感触で目を開けると、見えない何かが私を掴んでいた。
『誰なの!』
私がいるのはサウザンド・サニー号のダイニング。
私のゴーストを見て気絶しここで寝ていたようだが・・・それならどうしてここに見えない何かがいるの?
他のみんなは?
再び何かが私をベロリと舐める。
とにかく手の届く範囲のものに触れる。
これは、食器か。
サンジ、あとでまた創造で戻すから許して!
『放してっ!』
私は、創造で鈍器を作りゴンッ!とそれにぶつける。
そうすると横でドサリと音がして、その後人の気配は無くなった。
『はぁ、はぁ・・・。』
一体これは何?何があったの??
ドタドタ、バタン!と音がして扉が開かれる。
「大丈夫か!?」
ゾロが来てくれた。
私に駆け寄って、肩を掴む。
「物音がして来てみたが・・・。」
『起きたら見えない何かがいて・・・だけどこれで殴ったらどっかいったよ。』
私が鈍器をゾロに見せると、彼は「そうか」と一言だけ呟いて私の手を引いた。
『一体何があったの?』
私がそう問いかけると、ゾロは簡潔に私が気絶してしまった後のことを教えてくれた。
スリラーバークという場所にいること、ブルックが海をかけて行ったこと、ナミたちがミニメリー号で出てから戻ってこないこと、透明な何かが船にいたこと。
それから、巨大蜘蛛の巣に引っかかって目の前に入口が見えていること。
これは私が今目の前で見ている光景だ。
「クレア!目が覚めたんだな!おめぇも一緒に行くぞ!」
そして、ルフィとサンジ、ロビンにフランキーが既に島に入ろうとしている。
「おい、行くぞ。」
『ま、まま、待って!』
心の準備がまだ出来ていない、とりあえず深呼吸、深呼吸。
『すーっ、はぁー。』
「大丈夫か。」
『断じて!断じて私は幽霊が苦手とかそういうことじゃないのよ!』
私の必死の否定に、ゾロはフッと笑った。
「まぁ、何か出たら俺が守ってやるよ。」
心臓が、ドキリとした。
ん?これは何のドキリ?
この状況に心が恐怖で打ち震えているドキリ?
ただ、それに加えて顔も熱い。
もしかして、何かの病気なの?風邪?
「おい、何してんだ、行くぞ。」
『う、うん!』
私はゾロの後を追って島に足を踏み入れた。