第4章 夢と仲間と
夜になり、全員が寝静まる。
昼にあれだけ騒いだのだから疲れて眠っているのは当たり前だった。
しかし、展望台兼ジムには人の気配がする。
それが誰であるかは見なくてもわかった。
私はハシゴを登って展望台にひょっこりと顔を出す。
やはり、それは想像通りの人物だった。
『ゾロ、こんな夜中までトレーニング?』
「あぁ?」
そこにいたのは上半身が裸で、トレーニングをしているゾロだった。
ゾロはいつもみんなの寝静まる夜にここでトレーニングをしながら見張りをしている。その分、昼にはグッスリと眠っているけれど。
「何の用だ。」
『用がなかったら、来ちゃダメなの?』
私がそう問いかけると、ゾロは無言で私から目をそらす。
『みんなに助けてもらった日、私が見張りを手伝おうとしたこと覚えてる?』
「あぁ。」
『あの時は断られたけど、仲間になったんだからもう断らないよね?』
「・・・好きにしろ。」
ゾロがそう言うので、私は画材道具を広げて展望台から外を見る。
星がキラキラ光っていて、月が明るく照らしていて、それが海に反射して・・・夜の海なんて描いたことがなかったのでワクワクする。
『私の夢も私の能力も、みんなは全部受け止めてくれるかな。』
まだ、私の夢も悪魔の実の力も、何も彼らに伝えていない。
あんなにも決心したのに、まだ怖いと思ってる。
「仲間を信じろ。」
『・・・うん。』
ゾロにそう言われると、何だか力が湧く。
『ゾロ、たくさん助けてくれてありがとう。私が水に飲み込まれた時も、飛び込む勇気が出なかった時も、ゾロのおかげでこうして私はここにいる。1番は、リノスと話している時・・・ゾロの言葉が私を助けてくれた。』
私は外を眺めていたが、ゾロの方を見てニコリと笑うと、ゾロは私をジッと見て、それから近づいてきた。
上半身が裸のまま近づいてくるので、私は何だかドキリとして顔を背けてしまう。
「何してんだ、こっち見ろ。」
ゾロが私の頰を掴んで無理矢理ゾロの方を向かせる。
「いいか、テメェの味方はここにいる。だから、何があっても安心しろ。」
ゾロはニッと笑って見せて、私の頭をぐしゃりと撫でた。
その笑顔も仕草も言葉も、全てが私の心に重く響いて止まらない。
『うん、ありがとう。』
そんな心を隠すように、私は小さく笑って見せた。