第4章 夢と仲間と
「あぁ、こんなとこにいた。戻ってくるのが遅いから迎えに来ちゃったよ。」
聞き覚えのある声。
私が声の方を見ると、エニエス・ロビーへ向かう海列車の中で交戦した海軍本部少佐のティリがいた。
私と目があって、ティリは「ん!?」と目を見開いた。
「海列車の・・・なるほど、誰かに似てると思ったらリノスか。お前、姉さんがいるって言ってたもんなぁ。」
そして、自己完結して「ふわぁ」と欠伸をする。
この前の交戦時も思ったが、彼は中々に自由な人だ。
「それで、ジジイ・・・じゃなかった、ガープ中将は?」
「そこッス。」
ティリの問いかけにリノスが雑に答える。
こんなに雑なリノスを私は見たことがなくて、驚きの顔を向けると「この人にはこんなもんで良いんだよ。」とこれまた雑に答えた。
「おーい!あんまり遅いんで迎えに来ましたよー!」
ティリが壊した壁を直している最中のガープさんに声をかける。
「おー、ティリか・・・何でこんなとこにいるんじゃ!!」
ダルそうに近寄るティリにガープさんの鉄拳が飛ぶ。
「何すんだ、ジジィ!!」
「船で待機しとれと言ったじゃろ!それに、ワシに向かってジジィとはなんじゃ、このバカタレがぁ!!」
再びゴツンとゲンコツが飛び、ティリは「痛ぇ!」と声を上げた。
ダルそうにしているティリの印象しかなかった為に、こんなにも声を上げられるのかと私は驚いた。
「先輩が言ってた海列車で戦った女って姉さんのことだったんだね。」
『ええ、まさかリノスの先輩だとは思わなかったけど。』
リノスからティリのことを聞くと、9歳の頃に身寄りをなくしガープさんの船に乗って海兵を目指したらしい。才能はあるが、なにせめんどくさがり屋であるため、実力程には昇進しないらしい。
「ガープさんが帰るって言ってるから、僕もそろそろ帰るよ。僕にも有望な後輩が出来たし、次会うときはもっと強くなってるから、覚悟しててね、姉さん。」
『私も、負けないように頑張るわ。』