第4章 夢と仲間と
「てめぇらの夢が一体何かは知らねぇ。だが、ルフィも・・・そして俺たちの誰もその夢を笑ったりはしねぇ。」
「口でなら何だって言えますよ。」
かつて同じことを言った人たちも最終的には手のひらを返した。
リノスの言葉を聞いたゾロが、ジッと私を見る。
一瞬の間を空けて、それから口を開いた。
「俺は、世界一の大剣豪になる。」
ぞくりとした。
大きな夢を何の濁りもなく、ハッキリと口にする姿に。
小さな頃の私たちは、それを純粋に叶うものだと信じて、そして叶えるものだと信念を持って夢を口にしていた。けれどいつのまにか、私たち自身ですらそれを疑ってしまっていたような気がする。
ゾロの口調も声音も伝わる気持ちも、昔の私たちと同じだ。
同じ?いや、それ以上だ。
「俺の夢を聞いて、テメェらは笑うのか。」
私たちは無言で首を横に振る。
「まぁ、そういうことだ。一度テメェらの夢もルフィに話してみろ、必ず受け入れてくれる。」
ゾロはそう言って再び横になり、就寝に入った。
『リノス・・・1番はね、彼らと一緒にいたら叔父さんの遺作を見つけられるんじゃないかって思ってるの。ずっと、私もリノスも見つけられなかったモノは、この海の果てにあるんじゃないかって。』
「・・・姉さん。」
『叔父さんの残した「大海賊」は、私とリノスのどちらかが必ず見つける。他の誰の手にも渡らせたくない・・・そうでしょ?』
リノスはこちらに顔を向け、真っ直ぐな瞳で私を見つめる。
それから、ふっと柔らかく笑い「そうですね。」と呟いた。
『彼らに暖かさを感じて仲間になりたいと思ったのも事実。リノスと敵対関係になんてなりたくない、その感情も事実。でも・・・私たちの夢のために、私は彼らの仲間になるよ。』
「僕は、次から貴方を全力で捕まえに行く。だけど・・・海賊になっても姉さんは僕のたった一人の大切な姉さんだ。」
私は、その言葉を聞いてギュッとリノスを抱きしめる。
大切な私の弟、たった一人の家族。
必ず姉さんが、私たちの夢を叶える。
叔父さんが生きた証を見つける。