第4章 夢と仲間と
それから、ガープさんたちは壁の修繕を続ける。
私はというと、リノスと再び話を始めていた。
「とにかく、僕は姉さんが海賊になるなんて反対です。」
『そうは言っても、ルフィは頑固だし・・・それに私自身もう一度だけ信じてもいいかもって思えるの。』
リノスは、ダンッ!と壁を叩く。
私はその音にビクリとした。
「甘い!姉さんの夢を彼らに話した?僕らの夢を笑わない海賊に出会ったことはある?僕らの力を利用しない海賊には?いないだろう!自由を謳っても結局、海賊たちはやりたい放題生きているだけだ、その自由に僕らはどれだけ巻き込まれた?だから僕は正義を掲げる海兵になり、姉さんは仲間を作らず一人で夢のために冒険をしてきた、そうでしょ!?」
私とリノスの夢は、私たち自身でも無謀で実現し難いものだということはわかっている。
小さな頃から、夢を話すと必ず笑われた。
私とリノスの夢は世界一の芸術家『アーティルス』の残した作品を全てコレクションし、加えて幻の名画「大海賊」を見つけ出すことだ。
だが「そんなことは不可能だ」「そんなものは無い」と幾度となく馬鹿にされ、笑われてきた。
そして、私たちの悪魔の実の能力は利用しやすく、まだ幼い頃に何度も悪用された。
私の「セカセカの実」とリノスの「カコカコの実」が、今は私たちの力となっているけれど、昔はその力を呪った。
『全部、全部わかってる。だけど、ロビンを必死に助ける彼らを見て、どうして信用出来ないと思う?世界を敵に回しても仲間を助けたいと思った彼らを、私だって信じてみたいの。』
「いい加減に「うるせェな。」
リノスが再び私に怒声を上げたが、それを遮ってゾロの声が聞こえる。そして、ムクリと起き上がった。
「お前らの声がうるさくて寝れやしねぇ。」
死角になっていて見えなかったが、近くで寝ていたようだ。
「部外者は黙っててくれませんか。」
リノスが眉を顰めてゾロをギンッと睨む。
それに対してゾロもリノスを睨んだ。人相が悪いので知らない人が見たらビクリとしてしまいそうだ。
「海に出てえって言うなら好きにしてやれば良いじゃねぇか。それに、こいつがそう決めたんなら俺はこいつの仲間だ、部外者じゃねぇ。」
私は何だか、その言葉が嬉しくて少し微笑んでしまった。