第4章 夢と仲間と
ルフィを殴った男の人は海軍本部中将で、海軍の英雄の名前だった。
そして、その人がルフィの祖父であるらしい。
しかし、私にとってはそれは大切なことではない。
いや、その人の存在がどうでも良いわけではないが。
私の視線の先の少年はコツコツとこちらに歩いてくる。
横では言い争っていたと思えば、ぐがーっと寝て起きたと思ったらまたガープさんがルフィを殴るというカオスな状況が作り出されていた。
「ガープ中将、今日はお孫さんを殴りに来たわけではないですよ。」
「ふむ、そうじゃな。」
ガープさんはパッと手を放して、それから私たちのことをジッと見回した。
「それで、お前の姉とは・・・君のことかな?リノスと同じ髪の色と似た顔立ちをしておるな。」
そう言って、ガープさんは私に目を止める。
「久しぶりだね、姉さん。」
『リノス、元気そうで何よりよ。』
リノスは私の実の弟で、そして海兵である。
「リノス・・・名前を聞いたことがあるわ。若くして海軍本部の大尉になった天才少年。」
ロビンが名前を聞いて反応をする。
リノスは15歳という若さで大尉となり、将来を期待されていてガープさんの部下として「天才魔術師」の異名を持ち活躍している。
ここまでリノスが成長したのも、一重にガープさんのおかげだと感じているので、姉として感謝をしている次第だ。
「クレアちゃんも身内が本部の海兵なのか。」
サンジが驚きの声を上げる。
そりゃあ、こんな一旅人の身内が「海軍将校」であることは中々おかしい話だろう。
「姉さん、僕の知らないうちに海賊の仲間になってるなんて一体どういうことか説明してくれませんか?」
私が彼らとエニエス・ロビーで起こしたことがリノスの耳に入ってしまうことは想定内だった。
しかし、こうして直ぐに会うことになるとは思っていなかった。
『待って、私はまだ海賊の仲間になってない。』
「いや、お前はもうおれ達の仲間だ。」
私が否定の言葉を口にすると、ルフィがそれをさらに否定した。
ええ、いつの間に私は仲間になっていたの?
『私はあくまでも貴方たちの友人で「あんなに一緒に暴れ回ったのに?」
私の言葉を遮ってナミが私に問いかけてきた。