第1章 溺れた女
同行させて貰えることにはなったけれど、助けて貰った上にそれで何もお礼をしないなんて、そんなことはしたくはない。
『勿論、タダで乗せてもらおうとは思ってませんよ!』
私はペラリと1枚の紙を手に出す。
「ええ!?」
何もないところから突如それを出したので、皆はとても驚いていた。
「なんだそれ!手品か!?」
チョッパーが目を輝かせて私を見る。
『ええ、まぁ、そんなところです。』
本当は違うけれど、そうだということにしておいた方が都合が良い。
私は「セカセカの実」という実の能力者だ。
だから、海を泳ぐことが出来ないし、波に飲まれれば沈む。
そして、今この『宝の地図』という紙切れを出したのも私の能力によるものである。
「セカセカの実」は世界の理を操る、つまりは創造と破壊の能力。
右手が創造、左手は破壊でアンチ・サイという力だ。
今回使ったのはこの右手の創造の力である。
材料がありそこからの創造に対しては代償は無いが、何もないところからの創造には1度に1日分の自身の寿命という代償を伴う。
そして、一度自身が手にしたものでなければ創造出来ない。
左手についてはまた後日。
「ちょっと見せて!」
ナミが私の持っていた宝の地図をバッと取り見ると、目を$にしてこちらを見る。
「宝の地図じゃない!!」
『えぇ、勿論既に見つけられているというリスクもあるけれど。ご要望ならもっと出しますよ。』
私はナミの食いつきにニコリとして、更に2,3枚出す。
どれも以前に海賊と出会った際に触れたものだ。
「きゃー!もう大歓迎よ!!」
少しは恩返しになったようで、私は安堵した。