第1章 溺れた女
---ルフィを船長とする麦わらの一味は、ロングリングロングランドを出航し数時間が経過していた。
「どっちが大物釣れるか勝負だぜ!ルフィ!」
「ウソップ、今日のメシの肉はおれが貰うぞー!」
ウソップとルフィは、その日の夕飯の肉をかけて釣りで勝負をしていた。大体、釣りに夢中になって夕飯にはお腹を空かせてどっちが肉を貰うかなんてことを忘れてしまうのだが、彼らは飽きもせず勝負をするのだ。
釣りを始めてから数分で、ルフィの方の竿が海の方にグッと引いた。
「うおお!もう引いたぞ!」
「これは大物なんじゃねぇか!ルフィ!」
2人は竿の引き具合がいつも以上で、興奮して声を上げながら必死に2人で竿を引いた。
「なんだ!全然引けねぇぞ!」
ルフィが普段の力で引いても中々獲物が釣れず、遂に最大の力を使いそれを上げた。
「うおおおお・・・お?」
釣り上げられた獲物が宙を舞う。
それは、魚でも何でもなく人でその異様な光景に船にいた全員がそれに注目していた。
どうやら、釣り針は人の抱えていたリュックに引っかかっていたようだ。
釣り上げられた人は16,17歳程の少女で完全に意識はなく、ピクリとも動いていなかった。
「チョ、チョッパー!!」
いち早くその光景から正気に戻ったナミが船医であるチョッパーを大声で呼んだ。