第11章 過去の傷跡
ゾロと共にレストランに辿り着く。
予想通り、入った瞬間に仲間の居場所がわかった。
レストランの一角だけ、異様に山積みのお皿がある。
周りの客やスタッフがその量に対してあからさまに引いていることがわかった。
「おふぁわり!!」
ルフィの声にまだ食べるのか!?と周囲にどよめきが起きる。
『ルフィ、食べ過ぎじゃない?』
「クレア! お前も食えよ、めちゃくちゃウメェぞ!」
テーブルにはルフィ、サンジ、それからあとから合流したのかウソップとチョッパーがいた。
ガツガツとご飯を喰らうルフィの横で、チョッパーが嬉しそうにデザートを頬張っている。可愛い。
『そうだね、私も何か食べようかな。』
「俺は酒をもらう。」
すいませーん、と声をかけようとしたところで、私はひとつのテーブルに目が留まった。
「……なんで、ここに……。」
小さく漏れ出た言葉。
隣に座るゾロはそれを聞き逃さなかった。
「どうかしたのか?」
問いかけてくるが私はそれに答えることが出来ない。
展望台で出会った女、何で忘れていたのだろう。
あの女(ひと)はヤツの仲間だったではないか。
テーブルに座っていた1人の男とバチリと目があった。
咄嗟に私は視線を逸らして自分のテーブルに目を落とす。
気づかれた?
いや、私のことなんかとっくに忘れてる、そうに決まってる。
「何だよ、クレア。無視するなんて酷くねェか?」
ヤツの声だ。
肩にポンと手を置かれたが、顔を上げることが出来ない。
「誰だ、テメェ。」
ゾロが瞬時に剣抜いて男の喉元に突きつける。
「あぁ、怖い怖い。そう殺気立つなよ、ここは争いごと禁止だぜ?」
男が軽くゾロをあしらう。
この話し方も何もかも私の記憶に鮮明に残っている。
男の名前はレイヴィス。
裏切りを得意とする"ベトレイ海賊団"の副船長。
そしてーー私を裏切った人。