第11章 過去の傷跡
「腹減ってきたな、飯でも食いに行くか。」
『うん、そうだね。』
私とゾロは、ルフィ達がいるであろうレストランに向かうことにした。
綺麗な景色とお別れし、私は扉に歩いていく。
このあと食べるであろう料理に胸を躍らせながら扉に手をかけたところで、自分が力をかけるよりも前に扉が開かれた。
私は、わっと声を上げながら前のめりになるが、ゾロが私を咄嗟に掴んでくれたおかげで倒れずにすんだ。
「あら、失礼。」
綺麗な女性が、こちらに微笑みながら通りすがっていく。
どこかで会ったことがあるような気がする。
振り返って後ろ姿を見てみるが、特段何も思い出すことはできなかった。
「どうかしたのか。」
ゾロの心配を含んだ声で私はハッとして、ゾロに視線を移し替えた。
『ううん、何でもない。』
私は首を振ってにこりと笑って見せた。
きっと、気のせいだろう。
レストランまでの道は再び私が案内をした。
案内をしているのに違う方に行こうとするのは本当にやめてほしいものだ。
『きっとまた、ルフィはすごい量の料理を食べてるんだろうなあ。』
おそらく皿が山盛りで、レストランに入った瞬間に居場所がわかるのだろう。
いやまて、宿泊代はタダだけれど、お料理代は???
ナミに怒られるんじゃ……。
「俺は酒を飲む。」
『いや、別に張り合わなくていいよ……。』
ルフィのご飯代にゾロのお酒代が加算されたら……ナミの激怒ぶりが頭に浮かぶ……。