• テキストサイズ

【ONE PIECE】今日も剣士に愛される

第11章 過去の傷跡



『よかった、無事についた。』

 展望台にたどり着き、私はホッと胸をなでおろす。

 ゾロが連れて行こうとしたのが展望台だとわかり、私が道案内をしたのだが、途中もゾロは違う方向に行こうとするので、たどり着くことが出来ないのではないかとひやひやした。

 なぜ道案内しているのに違う方向に進もうとするのか、全くもって意味がわからない。

『それで、どうして私をここに連れてきたの?』
「そりゃあ、お前こういうところからの景色を絵にかくのが好きだろ。」
『……え。』

 ゾロから帰ってきた返事がかなり予想外で驚きつつも、じわじわと喜びが湧いてくる。
 私のことを考えてくれてたんだ。その事実が何よりも嬉しかった。

『うん、好き。ありがとう。』

 私が素直に気持ちを伝えると、ゾロは照れたように視線を逸らして「おう。」と一言返事をした。

『でも、今日は絵は描かない。』

 私の言葉にゾロは驚いたように目を見開いてから、眉根を寄せる。

「……気に入らなかったのか。」

 私は静かに首を振って、それが違うという意を示す。

『ゾロと一緒にこの綺麗な景色を目に焼き付けたいだけ。絵に留めたいとも思うけど、そうすると描くことに必死で全然景色を見れないんだよね。』

 えへへ、と私が笑いかけるとゾロはぐにっと私の左頬をつねる。

『い、いひゃい!』
「焦らせんな、あほ。」

 ゾロはそれから手を放して景色に目を移した。
 その横顔が私にはどこか嬉しそうに見えた。
/ 283ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp