第11章 過去の傷跡
「俺にも見せろ。」
私が館内図を見ていると、横からゾロが顔を出して覗き込んでくる。
急に顔が近づいたので、私は心臓をどきりとさせた。顔は赤くなっていないだろうか、おかしな顔をしていないだろうかと気が気じゃない。
ひととおり地図を読んでから「お前はどこ行くんだ。」と声をかけてきた。
『えっと、展示室に行ってみようかなって。』
「じゃあ、そのあとは俺に付き合えよ。」
ゾロはそう言って私から離れる。
私に答えを聞くことはなく、それはどうやら始めから決定事項のようで私に拒否権はなかった。
そういうところがある意味ゾロらしいとも思う。
「メシだ、メシだーッ!!!」
耐えきれないようにルフィが部屋を飛び出していく。
「高級ホテルの料理がどんなもんか、料理人としては気になるところだな。」
サンジもそれに続いて部屋を出た。
料理が気になるのもあるだろうが、ルフィのお目付け役も彼に決まった。
「私もお風呂に行こうっと、ロビンも一緒にどう?」
「そうね、一緒に行こうかしら。」
ナミの誘いにロビンはニコリとほほ笑んで答える。
「クレアもあとからおいでよ。私、長風呂だから。」
『うん、ありがとう。』
ナミは私に声をかけてパチリとウインクをしてからロビンと共に部屋を出て行った。
それから、みんなは各々やりたいことをするために散り散りになる。
私はゾロと共に展示室に向かっていた。
『ゾロ、展示とか興味あるの?』
「興味ねェ。」
うしろを歩くゾロに問いかけるもすぐに返事が来る。
即答かよ、と思いながらも、ではなぜ着いてきてくれたのだろうかと疑問を抱く。
もしかして、一人で可哀想だと思われたのだろうか。
私は腕を組んでうーん、と考えながら歩みを進める
結局、展示室に着くまでに答えにはたどり着かなかった。