第10章 海中の愛言葉(魚人島編)
「財宝全部、ビッグ・マムにあげたぁ!?」
ルフィたちが帰ってきて告げられた報告に、一同は声を上げざるを得なかった。
「お菓子がねェなら“魚人島“潰すとか言うんだよ、あいつ頭おかしいだろ!? 肉ならわかるぞ、なぁ!? だから安心しろ! 思いっきりあいつにケンカ売ってやったよ!」
「「『"四皇"にィ!?』」」
ルフィの言葉に一味のみんなはより驚きを隠せない。
頭がおかしいのはお前だ〜!!!
ジンベエも狼狽えている。
事態が分かっていないしらほしは「まぁ、力強いのですね!」なんて笑っているけれど、ウソップに「そういう問題じゃない!」と怒られていた。
いいや、でも、本当に私たち麦わらの一味にとっては頭を抱えるしかない出来事だ。これだから船長がめちゃくちゃだと困るんだ。
「売り言葉に買い言葉。男だもん、ケンカするのは仕方ないけどね……。」
「そうなんだ! 相手が誰だろうと。」
「何で全部渡したのよ〜ッ!!!」
ナミがルフィの言葉を最後まで聞くよりも前に、ルフィとゾロ、サンジをボコボコに殴る。
怒りの方向性に私たちは『「そこー!?」』とツッコミを入れざるを得なかった。
「よひ……行くぞ、新世界へ……。」
「「「前途真っ暗だよ!!!」」」
あぁ、麦わらの一味が再び集結できたばかりだというのに、既に先が思いやられるわ……。
だけど、この感じが何だか麦わらの一味らしいなとも感じる。
ルフィが目指す海賊王への道のりには、たくさんの壁があって、いつかは四皇とさえ戦わなければいけないのだろう。
新世界での旅がこれからどうなっていくのか、やはり私は不安よりもワクワクする感情の方が優っていて、自然と笑みが溢れた。