第10章 海中の愛言葉(魚人島編)
「え〜ん、ルフィ様たち本当にもう行ってしまわれるのですか!?」
しらほしがルフィを手の平に乗せながら大泣きしている。
相変わらずルフィは彼女のことを「よわほし」と呼んでいて、結局最後まで名前で呼ぶことはなかったわけだが……まぁ、しらほしが良いのなら良いかと思うことにする。
私はわいわいと騒いでいるみんなを横目に貰った絵画を船に積み込んだ。
叔父さんの絵とエリシエンさんの絵。
大切なものが2つも増えた。
ずっとずっと遠いと思っていた夢が叶うのではないかと思えてくる。ルフィたちと一緒にいれば、本当に『大海賊』を発見出来るような、そんな気がする。
ただ、もしも海の果てまで探しても見つからなかったとしても全てが無駄になるとは思わなくなった。
彼らとの冒険が単純に私の財産になるような気がしているから。
私が甲板に戻ると、ちょうどフランキーが出航準備が整ったと声を上げたところだった。
魚人島のたくさんの人たちが私たちの見送りをしてくれている。
ハッチンにケイミー、パッパグ、人魚たち、3人の皇子と別れを告げてルフィは最後に「ジンベエ!」と声を上げた。
ジンベエはそれに無言でこくりと頷く。
「よし、帆を張れェ〜!出航するぞ〜!またな、魚人島〜!」
そうしてサニー号は出航した。
たくさんの人たちの声かけにみんなが手を振り続けているとザバーッとしらほしが海から飛び出てくる。
「ルフィさま、いつかまたお会い……お会い出来ましたなら……!その時はもう泣き虫を卒業しておきますから……また楽しい"お散歩"に連れ出して下さいませ!」
しらほしは本物の森を見たいのだという。それに対してルフィは軽率に今度あったら連れて行くと約束をした。
彼女の小指にぐるぐると自身の腕を巻き付ける。
「ルフィ、それ私たちにも責任ない?」
「ルフィさん!約束とは死んでも守るものですよ!」
ナミやブルックはそう言ったあとに、みんなで彼女の指に自身の指を添えて『約束』を交わした。
もちろん、私も彼女とその『約束』を交わす。
そうして、本当の本当に『魚人島』と別れを告げた。
さぁ、いよいよ新世界へ!