第10章 海中の愛言葉(魚人島編)
盛大な宴が開かれ、一味のみんなが各々楽しんでいるのを他所に私は1人で外に出ていた。
少し外の空気が吸いたくなった、ただそれだけだ。
だけど、みんなと再開してからここまでが割と激動だったためか、やっと一息つけたような気がしてしまう。
これからどんな冒険が待っているのか、わくわくする反面これ以上先へ進むとどこかで彼と出会ってしまうような気がする。
"俺が本気だと思ってたのか?間抜けなやつだな"
目を閉じると鮮明に思い出す記憶。
もう2度とあんな思いをしたくない、そう思っていたはずなのに…こんなにも心を奪われてる。
「こんなとこにいたのか。」
頭の中に浮かび上がっていた人の声が聞こえてきて、私はビクリとする。
『わっ!ゾロこそ、こんなところにどうしたの?』
「お前のこと探しに来たんだよ。」
ゾロも空気を吸いに来たのかと予想していたので、まさかの言葉に私は目を丸くする。
ゾロは私の隣に座り込んでジッとこちらを見つめた。
『な、なに?』
「いや、どうも俺の言ったことがお前に伝わってねェ気がして。」
ゾロはあぐらをかいた状態で頬杖をつき、未だこちらを見つめている。
どういう意味だろう、私はよくわからなくて首を傾げた。それを見てゾロは深くため息をつく。
「いいか、単刀直入に言う、よく聞け。」
『え、あ、うん。』
私は戸惑いながらもコクリと頷く。
「クレア、俺の女になれ。」
ゾロからの言葉に脳が追いつかず、私は目をぱちくりさせる。
それから頭の中で言葉を反芻させて理解した時には、彼の手が私の頬に添えられ、ゆっくりと顔が近づいていた。