第10章 海中の愛言葉(魚人島編)
「みなさま、なぜ逃げるように広場をお出になられたのですか?」
ふよふよと漂うサニー号の横をしらほしが並走しながら問いかけてくる。それに対してゾロがヒーローになんてなりたくないと答えていた。
傍では、ルフィとジンベエがドタバタと騒いでいた。
「何で断るんだよ、ジンベエ〜!一緒に冒険しよう!」
「そうだ、仲間になれ親分!」
「元七武海がいたら心強ェ〜!」
ルフィの背後から、ウソップとチョッパーも加勢してジンベエに迫っている。
「じゃから"今はムリ"と言うとるだけじゃ!誘ってくれたことは嬉しく思う。」
ジンベエはまだやることがあり、今私たちの仲間にはなれないようだ。またルフィはちゃんと話も聞かずに騒いでいたわけだ、と私は1人納得した。
「人の道に仁義を通し、スッキリと身軽になった時、今一度わしはお前さんらに会いに来ると約束しよう。その時にまだ今の気持ちのままでおってくれたなら、もう一度誘ってくれんか…"麦わらの一味"に!」
ジンベエの言葉に全員はすでにワクワクとした表情を浮かべていた。彼がまた私たちに会いにきてくれた時、麦わらの一味に入ることを拒否する者は誰もいないだろう。
私だって、ジンベエと一緒に旅をすることをすでに楽しみにしているのだから。
「じゃあどうする?このまま"新世界"か?」
ゾロの言葉にしらほしが「もう島をお出になるのですか!?」と目に涙を浮かべながら抗議をする。
ルフィの決断を聞く前に背後から猛スピードで魚が追ってきていた。
【ルフィくん!宴の仕切り直しをしようじゃもん!】
聞こえてきたのはネプチューン王の声。
どうやら島を出るのはもう少し後になりそうだ。