第10章 海中の愛言葉(魚人島編)
「誰か、血液型Fはいねえか!?」
チョッパーの声かけに誰も応えようとしない。
残念なことに私たち一味の中に血液型Fは誰もいない。
こんなにもいるというのに、どうして誰も名乗り出ないのか。
「あ…!そうだ、この国!法律で人間に血ィやったらいけねェんだった!」
「えー!?何その法律、酷いじゃない!」
チョッパーが思い出したように言い、ナミはそれに対して不平を呈した。
このまま、誰も名乗り出なかったら…ルフィは…。
そんな不安を胸に抱きながら、横たわるルフィを見つめるとザッと私たちのそばに近寄る者がいた。
ジンベエだ。
「わしの血を使え、"F"じゃ…いくらでもやるわい!」
ジンベエは、自身は海賊だから法律など関係ないと名乗り出てくれたのだ。
彼からの輸血を得て、ルフィが声を発する。
「「「ルフィ〜!」」」
その様子にみんなが嬉しさを露わにする。
私はペタリと座り込んで安堵した。
あぁ、良かった。
また誰一人欠けずに戦いを終えることが出来たんだ。
ぽすん、と誰かが私の頭に手を置いた。
見上げるとそれはゾロで、小さく笑みを浮かべている。
戦いに夢中で忘れていた彼の言葉が思い出された。
一体どんな真意があるのか、未だに上手く理解できない。
安堵したらさまざまな考え巡って、頭が追いつかない。
だけれど、自分の顔が赤く、そして心臓が高鳴っていることだけは理解できたのだった。