第10章 海中の愛言葉(魚人島編)
他のみんなも幹部を倒して、広場にはホーディ一味の幹部がいなくなった。やっぱりみんなも凄いなぁ、なんて感心している暇もなく、頭上からノアは近づいてくる。
魚人島の人たちも一丸となり「麦わら!」と呼んで、ルフィに全てを託していた。
お願い、どうか止まって…!
私もただただ祈りを捧げる。
すると、アナウンスが流れてきた。
【「ノア」は止まりました!ノアを完全に破壊することもなく、魚人島は救われました!】
そのアナウンスを聞いた途端に、ドッと歓声が湧き上がる。
ルフィはホーディに勝ち、そしてノアも止まった!
終わったんだ、と思うと身体の力が抜けてヘタリと座り込む。
「なんだ、もうへばったのか?あんなに意気込んでたってのに。」
『こんなにおっきな戦いは久しぶりで…終わったと思ったら気が抜けちゃった。』
ゾロからの声かけに、私は力なくハハハと笑う。
それから、チョッパーやフランキーも元の様相に戻り、サニー号の近くにかたまった。
チョッパーは"怪物強化(モンスター・ポイント)の効力で動けなくなってしまい、ロビンに膝枕をされている。
まだ、ルフィは戻って来ない。
先に国王や王子がホーディとバンダーデッケンを連れて戻ってきた。2人は縛られているが、それよりもダメージによって気を失っているようだ。
「皆さん、ご安心を!もう、この者たちを自由にはさせません!」
王子が声高らかに宣言するが、歓声の間には恐怖の声も含まれていた。
「えーん!」
遠くからしらほしの泣く声が聞こえる。
「帰ってきましたよー!ルフィさん!」
ブルックが言う。
しらほしの手の中にルフィが見えるが、元気そうではなかった。
「お助け下さいませ!ルフィ様の血が止まりません!わたくしたちの為に無茶をなさって!」
しらほしが大粒の涙を流しながら急いでこちらへ向かってくる。
私は不安に駆られ、声を上げることもできなかった。