第10章 海中の愛言葉(魚人島編)
周囲は上から落ちてくる舟を"ノア"と呼んでいた。
名前があるということは何か重要なものなのか?
いや、重要かなんてどうだって良い。
これが落ちてきたらここにいる人たちは全滅だ!
「ああああッ!」
何かが降ってきて、ズドン!と地に落ちた。
「お前は!デッケンの部下ワダツミ!」
「いったぁ〜、足滑ったらぁ〜!」
……あの高さから落ちて痛いで済むの?怪物すぎでは?
その後ワダツミが上空に向かってデッケンの名を呼ぶので、舟がバンダー・デッケンの仕業だと断定された。
デッケン…しらほしにしつこく付き纏う私たちの敵。
そもそもストーカーは人類の敵!!
【バホホホ!ワダツミ!お前を助けることはもう不ギャ能!この能力で飛ばしたものは何かに激突するか、標的を仕留めるまで止まらねェ!この魚人島と共に、しらほしの死に添えられる生贄となれ!】
バンダー・デッケン…最悪だ。
自分のものにならないなら殺すだなんて幼稚にも程がある。
しらほしは絶対に守る!としらほしのいた場所を見るが、彼女はそこから居なくなっていた。
一体どこに!?と焦り出したところで「わたくしならこちらです!」と上空から声が聞こえてきた。
『しらほし!どうして!?』
声を上げずにはいられなかった。
そんなところにいては私たちは何も出来ない。
「あなた様のマトはわたくしの命ではありませんか!わたくし1人の命を奪うためだけに、リュウグウ王国の皆様まで巻き添えになさるのは、おや、おやめくださいませ!わたくしならこちらに!」
しらほしは、みんなを守るために1人で背負うつもりなのだ。
みんなを守るためにしらほしが犠牲になるなんて…そんなの間違ってる。
創造で持っている銃をスナイパーライフルに変えてデッケンを狙うが、流石に遠すぎて狙いが定めることが出来なかった。