第10章 海中の愛言葉(魚人島編)
ドスゥン!
私たちを乗せたサニー号が広場に着陸した。
船は竜宮城を出発し一直線にここへ向かっていた。
到着前に聞こえたしらほしの…魚人島の人々の助けを呼ぶ声。
私たちはそれに応えるように駆けつけたのだ。
「お前らは本当にこの島を滅ぼす気なのか!?」
「なぜ竜宮城を占拠した!」
矢継ぎ早に繰り出される島民からの質問。
しかし私たちは胸を張ってホーディ達に立ち塞がる。
「敵か味方か?そんなの…お前らが勝手に決めろォ!」
私たちはあくまでもヒーローになるつもりはない。
ルフィの言葉を借りれば、ただ気に食わない相手をぶっ飛ばすのみ!
「さっきのクジラさんはなぁに?」
「途中で見つけて船を引いて貰ったんだ。」
『くじらって本当におっきいんだねぇ〜。』
ロビンが近くにいた私とチョッパーに問いかけてくる。
チョッパーがそれに回答して、私はクジラについて感じたことを述べていた。
それから、ルフィはしらほしのことを"よわむし"ではなく"よわほし"と呼んでいた。
しらほしはずっと真実を胸のうちに秘めて誰にも明かさずにいたようだった。それがどれだけ辛かったか、私には計り知れない。
「申し訳ございません、わたくしが勝手に真実を胸の内に隠していたばかりに…。」
「ええんじゃ、お前さんはそのままでええ!」
しらほしの申し訳なさそうな表情、言葉にジンベエが肯定的な言葉をかける。
「憎しみを受け継がん…これこそ偉人たちの願い!お前さんに息づいたその小さな"芽"がいつしか島中に広がり、皆が同じように考えられる日が来れば…その時はもう争いも消え、魚人と人間のしがらみなどなくなる事じゃろう…。」
私たちはジッとジンベエの言葉を聞いていた。
「耐え忍んだお前さんの数年間を否定する為じゃない、たった1人でくる日もくる日も懸命に守り続けたその小さな"芽"を今度はワシらに守らせてくれ!」
しらほしがポロリと涙を流して「はいっ!」と返事をした。
それから盛大に泣き出す。
その様子にルフィは「よわむしじゃねェけど泣きむしだな」と述べた。
まあ、一理あるけど…それ今言うの??