第10章 海中の愛言葉(魚人島編)
「おいハチ…お前そのケガ誰にやられたか頑なに教えてくれねェが…さっき言ってたな、ホーディは人間と仲良くしようとする魚人にまで手をかけるって。」
サンジがムクリと起きながら、そこまで言ったことで私は気づく。
ハチは、私たちの味方をしてやられたのではないか。
サンジも同じことを口にしていて、それに対してハチは「ニュ〜、それは…」とあからさまに目を逸らした。
「ジンベエ!ルフィにとっちゃあ、ここがお前の国だというのも理由の一つだろう。ここは素通りできねぇ。おれ達には戦う理由がある!」
珍しくサンジがカッコよく見える。
たまにはいい事言うじゃない、と感心していた。
「なぜなら、ケ〜イミーちゃんもいるし♡し〜らほしちゃんもいるしィ♡」
はい、台無し。
一瞬にして幻滅モードに入ってしまった。
サンジは所詮サンジってことね。
「そこどけよ、ジンベエ!おれは行くっつったら行くんだ!」
「いや、行かせん!わしに任せろ!」
結局2人とも折れずにまた振り出しに戻る。
ルフィはジンベエの言葉にムキーっと顔を顰めて「じゃあお前をぶっ飛ばしていくだけだァ!」と声を荒げた。
はぁ、もういい加減にしてと私は頭を抱えた。
「待てと言うとろうが!話を最後まで聞けい!」
意外にもジンベエは好戦的な姿勢ではなくなっていた。
「わしとお前の関係はなんじゃ。」
「友達!」
元王下七武海に即答で友達と答えるのも凄いと思うけれど。
「そうとも。この造作もない関係を築けず、魚人族と人間は長年往生しとる!"ホーディと戦うな!"と伝言したのは、闇雲に戦うなという意味じゃ!突っ走るな!やるのなら、ホーディをぶちのめす凶暴な人間にならず…この島のヒーローになってくれ!」
ジンベエの意外な要請に、私は目を丸くして驚くのだった。