第10章 海中の愛言葉(魚人島編)
【そして最後に、麦わらの一味!】
ホーディの呼びかけの後に映し出されるもの。
それに対して私はヒュッと息を飲んだ。
【これを見ろ!この島のどこかでモニターを見ているだろう…魚人族の"怒り"アーロン一味の野望を砕いた人間達よ!】
「ゾロ、ウソップ、ブルック〜!」
チョッパーがモニターに向かって叫ぶ。
そう、3人が檻に捕まっている様子が映し出されたのだ。
そんな、どうして…みんななら大丈夫だって信じていたのに…。
【この部屋も国王の処刑が終わる頃には水でいっぱいになる…下等な生物"人間"は、これだけで死ぬんだよなぁ!】
ダメ!
そう叫びたいのに上手く声が出てこない。
またこの感覚、大切な人を失うかもしれない感覚。
苦しい、もうそんな思いをしないようにって2年間頑張って来たのに、強くなったはずなのに。
私はまた、何の役にも立たないというの?
【懸賞金4億ベリー"麦わらのルフィ"!お前達の首は地上の人間達への見せしめにちょうどいい!さぁ、リュウグウ王国の大掃除を始めるぞ!3時間後、この国はプライドある魚人島に生まれ変わる!】
ブチリ、とモニターが切れた。
どうしたらいい?私は、どうしたら。
「おい、おれの懸賞金4億ベリーだって!いつ上がったんだ〜?」
「それどころじゃないでしょ!」
危機感なく腑抜けた顔で喜ぶルフィにナミがパンッと彼の頭を叩く。おそらく私たちと別れた後の頂上戦争での出来事がルフィの懸賞金へ影響を与えたのだろう。
「でもまぁ、売られた喧嘩は買うだけだ!」
ルフィはホーディに対して敵意を見せる。
「お父様…助けに行かなきゃ!」
「待ちなさい、しらほし姫!止まれ、メガロ!」
メガロと共に飛び出すしらほしをジンベエが止める。
しらほしはそれに対して「でも!」と声を上げた。
「ルフィくんも姫様、2人ともちょっと待て!」
ジンベエの止める声にルフィとしらほしは一旦足を止めた。
私は、ゾロたちをどう助けるべきかで頭がいっぱいだった。