第10章 海中の愛言葉(魚人島編)
ルフィは縛られたままビュンッと跳ねて、バンダー・デッケンに攻撃を食らわせる。私は、何かあった時のためにしらほしの近くから離れずいた。
すぐに決着はついた。
ルフィの"JETハンマー"がバンダー・デッケンにクリーンヒットしたのだ。
「サメ、起きろ!」
ルフィが近くでのびていたサメを起こす。
しらほしはルフィの縄を解いていて、私はチョッパーたちの方の縄を切っていた。
あれ…なんかサンジが幸せそうな顔をしながら気絶してますけども。
『…サンジはどうしたの?』
「人魚姫を見たら石になったんだ、でももう大丈夫そうだ、意識もあるし!」
チョッパーの言葉になるほどと事の次第を理解する。
まぁ大事ないなら良いでしょう。
それにしても、ハチの方がよっぽど重症そうだ。
私たちはサメに乗り込んでその場を離れる。
「ごめんなさい、皆様!お夕食までには戻りますから!」
しらほしの言葉の端々から、大事にされてきた箱入り娘なのだというのが感じられる。
どう考えても、仮にも海賊といる時に出てくる言葉ではない。
「ワダツミ〜ッ!」
バンダー・デッケンのドスの効いた声が聞こえた。
うぉおおお!と魚人島に着く前に見た大きな男が目の前に立ちはだかる。
「"ゴムゴムの…JET銃(ピストル)"!」
ルフィの攻撃がワダツミに炸裂する。
ワダツミはその攻撃を受けて、前歯が折れたと泣き散らした。
「行くぞ、弱虫!海の森!」
「はいっ!」
ルフィの言葉にしらほしが返事をする。
待って、今"海の森"って言った?
敵から逃げて向かう先は私の行きたかった場所なの?
あー!なんて運がいいんだろう!
「クレア、なんか変な笑い方してるぞ…どこか悪いのか?」
『え!?いや、何でもないよ!』
私がぐふぐふと気味の悪い笑い方をしたせいでチョッパーに心配をかけてしまった。
いけないいけない、反省だわ。