第10章 海中の愛言葉(魚人島編)
その後も兵隊たちはしぶとく追いかけてきた、
一体、私が何をしたというのだ!?
いや…私も今は立派な海賊、追いかけられる理由はいくらだってある。少なくとも私たちは善人ではないだろうし、たくさんの人たちを傷つけた。
そう考えると、こうして追いかけられることの方が正しいのでは?
『あー!考えるのもめんどくさい!!』
私は思考を停止させてとにかく逃げる事にした。
誰かと合流出来れば良いんだけど、こういう時は単独行動とは良くないなと思わされる。
「捕らえたぞー!麦わらの一味!やったぞォ!」
道の先で歓声が聞こえる。
麦わらの一味を捕らえた?
急いで駆けていくと大きく美しい人魚と複数の魚人、そしてその真ん中でルフィ、サンジ、チョッパー、それからハチが捕らえられているのが見える。
私は2年間で新しく開発した銃を構えて、地面に撃つ。
火炎放射器を改良したもので噴射の威力によって移動もできる。
私は空中に舞い上がり、人集りを超えてルフィたちの前に立つ。
「クレア!」
『ちょっと、船長が何で簡単に捕まってんのよ。』
ルフィが私の名前を呼ぶので少し苦言を呈してみる。
だが、ルフィは全く気にしていないようでにっしっしと笑ってみせた。
「ん?おい、お前ら!なんか飛んでくるぞ!あっち!」
ルフィが遠くを見ながら言う。
魚人たちは初めは信じなかったが本当に何かが飛んでくるのに気がついて焦り出す。
あれは何だ??
「まさか、あれは!バンダー・デッケン!」
誰だ、それ。
魚人たちが焦る中で、私はバンダー・デッケンとは誰なのか首を捻っていた。
「見ィつけたぞぉ〜!のハズだ〜!バホホホ!しらほしィ〜〜イ!」
しらほしとは誰なのか、私はさらに首を捻る。
「…バンダー・デッケン様…。」
近くにいた大きく美しい人魚が名前を呟いた。
なるほど、彼女が"しらほし"なのだろう。
この異様な雰囲気に、私1人がついていけずにいた。