第10章 海中の愛言葉(魚人島編)
『よし、こんなもんかな。』
集中して筆を走らせ、遂に絵が完成する。
といっても、2年前よりも随分スピードは上がった。
何よりも絵の精度が格段にレベルアップしている。
アルテ島で2年過ごしただけある。
『さーて、絵を描いて満足したし翠藻探しと行きますか。』
おそらく、叔父さんの絵がその辺にあるとは思えない。
それよりは手に入りやすい翠藻を先に探した方が良いだろう。
とはいえ、翠藻がどこにあるのか、見当もつかない。
そんな時は!聞き込み調査だ!
『すみません、翠藻を探しているのですがどこに行けば手に入るかわかりますか?』
ちょうど近くを歩いていた魚人の男性に問いかける。
「翠藻?最近中々手に入らなくなってな、今は海の森でしか手に入らねぇよ。」
どうやら私の見当違いで、そう簡単に手に入らなそうだ。
『海の森…それはどうやって行けば…?』
「いや、人間1人では厳しいと思うけどな。」
『そうですか…ありがとうございます。』
叔父さんの絵探しに加えて翠藻探しも難易度が高いとは、これは中々厳しい状況になってきた。
「見つけたぞ!!」
後ろからの声に『ん?』と振り返ると、魚人の兵隊のような人たちがこちらに猛スピードで向かってくる。
『え、なに?なに!?』
「麦わらの一味!大人しくしろ!」
はぁ〜!?!?
さっきは宴を開いてくれるって言っていたのに、こんな短時間で急に態度変わりすぎじゃない!?
意味がわからなすぎる。
『大人しく捕まる奴がどこにいるって言うのよ!』
私はダッと走り出して兵隊達から逃げる。
だが大人しく追跡をやめてくるわけもなく、逃げても逃げても追いかけてくる。
『あぁあ、鬱陶しい!!創造:ロケットランチャー!』
私はロケットランチャーの照準を上部の看板に合わせて発射する。
ドンッという音と共に看板にそれは命中し、看板はズドンッと床へと落ちた。
これで多少足止めできるだろう。
「あぁッ!うちの看板がッ!」
近くで悲痛な叫びが聞こえる。
…ごめんなさーい!