第9章 再会(2年後編)
「大変…ルフィ!クラーケンに言って!すぐここから遠ざかるように!」
ナミが焦りながらもしっかりと船長に指示をする。
当のルフィは特に焦る様子もなく楽しそうにしていた。
「おい!スルメ〜!!」
「待った!必要ねェ!」
ルフィが大声でクラーケンに声かけした時に、ウソップがそれを制止した。
ん?とウソップの見ている方向、つまり船の下のクラーケンを見ると、既に一目散に走り出していた。
「もう脇目も振らずに走り出してる!伝説の怪物が凄い形相で!」
本当に凄い顔だった。
ここで暮らしているから、噴火がどれほどに大変なものなのか身をもってわかっているのだろうか。
「助かる!案外気が合いそう!」
「ひどい走り方。」
ナミとロビンが呑気にそんなことを言う。
随分と肝が座っているなぁ、と感心したがそうでなければ海賊なんてやっていけないだろう。しかも、船長がルフィなら尚更だ。
「でも、おれ噴火見てェ!」
やはり船長は格が違うようだ。
ルフィの言葉に私は嘘でしょ?という視線を向けてしまう。
その時、ドォン!!という凄い音と共に船が強く揺れた。
『うわぁっ!!』
飛ばされそうになるところを近くにいたゾロが受け止めてくれた。
私は『ありがとう』と声をかけてから音の方向を見る。
マグマが海底を駆け降りてくる。
先ほどの寒さとは打って変わってとても暑い。
クラーケンの横を走っていた船と大きな男が吹き飛ばされた。
「逃げて、スルメ〜!」
「水温差で海流が渦巻き始めた、頑張れ!!」
みんなが声援を送る中でスルメは一生懸命に海底を駆け抜けていく。
「ナミさん、魚人島はどっちだ!ブハッ!」
サンジが切羽詰まってナミに声をかけるも、再び鼻血を噴き出す。
チョッパーはそれを見て「こんな時までやましい気持ちが!?」と大変驚いていた。
いや、私も驚いている。
いい加減にしなさい!と怒ってやりたい。
「まだまっすぐ!もう少し!あの海溝へ!」
そう言うナミの視線の先にあるのは断崖絶壁。
絶体絶命だ。