第9章 再会(2年後編)
ー ゾロside ー
「ぷはーっ!広い我が家が1番だ!」
サニー号に着くなり、ルフィがそう声高らかに言う。
しゃぼんを使いクラーケンに向かっていった俺とルフィ、コックの3人は結果的にクラーケンを手懐けた。
だが、ルフィとクソコックがしゃぼんを割ったせいで俺のしゃぼんに入ってきたのだ。
クソ程狭かった。
だが俺たちは無事にサニー号に辿り着き、仲間たちと合流出来たわけだ。
「ルフィ、不安だったぞ〜おれ〜!うわーん!」
チョッパーがルフィに泣きつく。
フランキーは俺たちの生命力の強さを笑い飛ばし、そしてナミは呆れていた。
いつもと変わらない様子だ、と思いながらもその面々の中に1人だけ姿が見えない。
「おい、クレアはどうしたんだ。」
「頭をぶつけたみたいでまだ目を覚まさないわ。」
俺の問いかけに真っ先に答えたのはロビンだった。
横たわるクレアの頭を膝に乗せて、じっと座っていた。
時折、苦しむような表情をするクレアの頭を安心させるように撫でていた。
「お、おれ、3人まで戻って来なかったらどうしようって…。」
チョッパーがグスグスと涙を流しながら俺を見る。
ルフィとサンジも心配するようにクレアを見ていた。
「クレア、やばいのか?」
ルフィが珍しく真剣な表情でチョッパーを見た。
チョッパーはそれに対してはブンブンと首を振る。
「いや、意識も呼吸もしっかりしてるんだ。命に別状はない。だけど…何かが苦しくて辛そうで…目覚めることを阻んでいるような…。」
俺は何だかよく分からなくて困惑する。
どうしたらクレアは目を覚ますのか、元気に笑うのか。感じたことのない焦燥感で胸が満たされていく。
「仕方ない、ここは俺が目覚めのキスでクレアちゃんを起こすしか。」
俺は至って自分は紳士だ、という顔を取り繕うクソコックの肩を掴みギロリと睨む。
「殺すぞ。」
自然と出てきた言葉と、何とも言い難い感情。
クソコックがクレアに触れることすら許すことが出来ない。
俺は、全く自分の感情を制御出来ずにいた。