第9章 再会(2年後編)
海獣に船を引かせるのが海中航行の上級者だと聞いたルフィは船の外を見渡して探す。
私も海獣探しが面白そうだなぁ、と船の端から乗り出して海底を見てみる。が、暗くてよくわからない。
はぁ、と吐いた息が白く感じた。
それから、何だか肌寒いような気がしてくる。
「みんな、コートでも羽織った方が良いわよ!これから先、寒くなるから。」
ナミの言葉で私は上着を取りに船内に入った。
深海の水はとても冷たいのだ。
流石に半袖じゃ乗り越えられる気がしない。
部屋のクロゼットで上着を取り、それを着たところで叔父さんの絵が目に入った。シャボンディでナミに助けてもらって手に入れた絵だ。
これから行く魚人島には、叔父さんの絵はあるだろうか。
私は絵をジッと見つめてから部屋を出て船外へ向かった。
外に出たところでみんながバタバタと船の前方へ向かうのが見えた。私も急いで走り寄ると、驚きの光景がそこにあった。
海の中なのに滝が見える。
それは、上から下に流れる海流"下降流のブルーム"だ。
「まるで巨大な滝だ!ずーっと下まで海が落ちてく!ものすげースピードだぞ!」
ルフィが興奮気味に言う。
いや、ルフィだけではなく全員がその様子に興奮していた。
「おい、麦わらの一味!すぐに引き返せ!ヤベェぞ!」
後ろで捕まえた男が声を張り上げている。
何だ、急に・・・と思いながらも滝の下を見つめていると、何かがいるのが見えてきた。
『なに、あれ?』
私が呟いた直後に「うわぁーっ!」とみんなの叫び声が響いた。
「クラーケンだァ!」
あれが、クラーケン。
このまま向かって行ったら船が粉々になってしまうのでは、私は焦りを露わにする。
「船を何隻も握り潰してやがる!ここ数日で出航した船が餌食になったんだ!!」
フランキーの言葉に、ここにくるまでの粉々の船が思い浮かんだ。
「良いこと考えたんだ、おれ!あいつを手懐けよう!」
「は!?」
ルフィの唐突な言葉に驚きの声が上がる。
私も『え?』と言ってしまった。
ルフィの突飛な思考は2年経っても相変わらず健在だった。