第9章 再会(2年後編)
フランキーの話は驚くべきものだった。
暴君くまは本当は革命軍の幹部で、私たちの船を守っていたのもくまだったのだ。フランキーがついたときにはとてつもなくボロボロだったという。
私たちは、やはり彼に助けられていたのだ。
暴君くまは実験台として海軍に体をサイボーグ化され、人格を奪われる契約をしていた。ただ、その前に一つの任務をプログラムしていたのだ。"麦わらの一味の誰かが船に戻るその日まで海賊船を死守する"というプログラム。
ルフィの父親が革命軍のボスだということに関係があるのか、という声が出たが結局のところよくわからなかった。
「実際、俺たちにとって意味のあるこの2年間を生み出してくれたのは、あの男だったことは間違いねェ。」
フランキーの言葉に私はコクリと頷いて同意した。
叔父さんや両親の故郷であるアルテ島で私はたくさんのことを学んだ、たくさんのことを知った。
あの2年間は、私の中でとてつもなく重要な日々だった。
「この一味にとって、バーソロミュー・くまは結果的に大恩人だってことをな。そして、またいつか出会う日が来ても、もうくまは心なき"人間兵器"だ。」
くまにお礼を言いたいのに、もうその声は届かないなんて。
それからみんなでルフィの持ってきたお弁当を食べ、船の外を眺めていた。
私は、よし!とこの光景を描くためにスケッチブックを取り出す。
「もう、どれくらい沈んだかな。」
「随分、光も届かねェ感じになってきたな。」
ルフィとウソップが上を見上げながら言った。
だいぶ沈んだようで、陸では見られない光景がある。
大きな鯨が横を通り過ぎたり、見たことのない魚もたくさんいる。
あぁ、描いても描いても描き足りなそうだ。
私はワクワクしながら絵を描いていると、遠くから何かがこちらに向かってくるのが見えた。
・・・海獣?
いや、それにしては何だかフォルムが見慣れた感じのものが後ろに・・・。
「おい!みんな後ろから船らしき影が!」
ウソップの言葉に、私はあれが船なのか、と合点がいった。
って、ええ!?船!?