第9章 再会(2年後編)
私たちはサニー号へと足を踏み入れる。
「まだお前しか着いてないのか。」
『ううん、フランキーが私よりも3日前に着いててサニー号の整備をずっとしてるよ。今はちょうどいないんだ、さっきレイリーさんに聞きたいことがあるってここを出たの。』
タイミングが悪かったね、と私が声をかけると仕方がないと言いながら船を見回る。
『集合の日まであと6日・・・ゾロはどうするの?』
「適当に過ごす。」
随分とアバウトな回答に私は何も言葉が出て来ず、苦笑いをするしかなかった。
「クレアは?」
『私はシャボンディ諸島の絵を描くよ。知ってる?私、この2年間で芸術家として少しは名を挙げたの、6日後には取材だって受けるのよ!』
ゾロは、私の言ったことに対して凄いと言えば良いのか"取材"という言葉に突っ込めばいいのかわからないというように目を泳がせた。
『だけど、芸術家としてのクレアは一旦おやすみ。安心して、取材の時に一時引退宣言をして、麦わらの一味だってネタバラシをするの。大丈夫、絵を好きな人たちは書き手がどんな人物かなんて気にしないもの。』
「・・・そうか。」
無事に旅が終わって、また1から芸術家としてスタートすれば良い。
そしてまたいつか、私の絵を好きだと言ってくれる人たちと出会えば良い、ただそれだけ。
今手にした少しの名声を手放すことに何も後悔はない。
それと引き換えに、仲間たちとの冒険を再びたくさん絵におさめることが出来るのだから。
『今度は、守られるばっかりじゃないよ。私だって、ゾロのこと・・・みんなのこと、守ってみせる。』
私が真剣にそう告げると、ゾロは一瞬驚いた表情をしてから、ふっと笑って見せた。
「俺を守るって?生意気だな。」
そう言って、ゾロは私の頭を小突いた。
『ほんとだよ!ほんとのほんとのほんとなんだから!!』
私がそう言うも、ゾロはまた笑うだけで私はぷくりと頬を膨らませるのだった。