第8章 芸術家たちの島
遂にアルテ島を経つ日がやってきた。
月日が経つのは早く、ここに辿り着いた日が随分と懐かしい。
あれから絵も更に上達して、クレアの名前で画家としてもかなり名が売れた。
シャボンディ諸島についたら雑誌の取材を受けることになっている。そこで私が麦わらの一味のディストラクト・クレアだと知られてしまうかもしれないけれど、一時引退宣言にはちょうど良いだろうという考えだ。
潮の流れの影響で、シャボンディ諸島へは1週間も前に着く計算だ。
今を逃すと次はひと月後で約束よりも遅れてしまう。
それならば早く着いた方がよっぽど良い。
『大変お世話になりました。みなさんのおかげで絵も上達して自分自身凄く成長出来ました。』
2年前、島を出るときに新聞が来て出ないと決めた時を思い出す。
今度こそ本当の別れで、そして2年前よりも悲しさが湧き上がってくる。
「クレアちゃんの努力の成果さ。これからの冒険は大変だと思うが、私たちみんな君の無事を祈っている。またいつか、ここに帰っておいで。」
カラルさんが私の手をギュッと握りながら言う。
何だか、私にも故郷が出来たようなそんな気分だ。
『ありがとうございます。』
私は頰に涙が一筋伝っていたことに気がついた。
カラルさんはポンポンと私の頭を撫でる。
島のみんなも私に温かい言葉をかけてくれた。
商船に乗り込み、みんなに大きく手を振る。
私たちはお互いが見えなくなるまで手を振り続けた。
それから船内に入って一息つく。
2年ぶりにみんなと会えることに私はワクワクしていた。
みんな、どれだけ変わっただろう。
会ったらお互いのことがちゃんとわかるだろうか。
みんなは私のことを気づいてくれるだろうか。
そんなことを考えていると、ふと頭にゾロの顔がよぎった。
ゾロはどんな風になっているんだろう、前よりきっとずっと強くなってる。今度こそ私も力になれるかな。
少しだけ不安が混ざるけれど、楽しみな気持ちの方がずっと大きかった。