第8章 芸術家たちの島
『叔父さんと私の両親はこの島出身なのに、私とリノスが叔父さんと過ごしたのは西の海(ウエストブルー)の島でした。どうして3人はこの島を出たんですか?』
私が質問をすると、カラルさんはそれに頷く。
「アーティルスがもっと世界を見て挑戦したいと言ったのは、あいつが16の頃だった。そのとき、ヴィンセントは11歳でそう言う兄について行くことは出来なかった。アーティルスは絵を売りに行くための商船に乗って島を出た。その後、どういう経緯かあいつはロジャーの船に乗った!!新聞でヤツの動向を知り、いつも無事かどうかをみんなでヒヤヒヤしたものだ。」
叔父さんからどんな旅をしたのか詳しくは聞いたことがないけれど、仲間たちや珍しい体験なんかは話してくれた。
私も海賊をやっている。
もし、私にも叔父さんにとってのこの島の人たちみたいに、自分を待つ人なんかがいたらきっとすごく心配させていたんだろうなと感じる。
残念ながら、いないのだけれど。
「そうして、その10年後にあいつは帰ってきた。みんなで喜んだ、特にヴィンセントなんかは久しぶりに会うもんだから号泣していた!その2年後、ヴィンセントも外の世界を見たいと言った。この島で生まれたものは大体が芸術家となり、絵や陶芸など様々なことに打ち込む。商船に乗る者は僅か数名、つまり殆どの人が島で一生を過ごすわけだ。」
アルテ島の人々が生み出す芸術品は、世界的に有数で厳重に取り扱われるものも多い。だから、海軍将校が必ず1人は船につく。また、アルテ島が雇っている商人たちも乗り、乗船人数は多い。
勿論、雇う商人は世界政府が決めているわけだから悪党など入り込めない。
「アーティルスの冒険話を聞いて興味が湧いたのだろう。ヴィンセントと共にアーティルスも島を出ると言った、外での弟の面倒は自分が見ると啖呵を切ってな。そして、当時ヴィンセントの恋人であったフィクチュアも彼について行くと決めた。そして三人は島を出たのだ。」
だから、両親と叔父さんは西の海にいたのか、と合点がいった。