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【ONE PIECE】今日も剣士に愛される

第8章 芸術家たちの島



「そろそろ絵を売っても良いかもしれないね。」

カラルさんが私の絵をジッと見ながらそう言ったのは、私がアルテ島に飛ばされて3ヶ月を少し過ぎた頃だった。

『本当ですか!?』

あまりにも唐突な言葉に、3ヶ月間ひたすらに絵を描いていた日々を思い出して私は口角を上げた。

「ということで、君の聞きたかった話をする時かな。」
カラルさんが椅子に座り、私にも対面して座るように促した。
私はそれに従い椅子に座る。

「君の両親とアーティルスが昔どんな人物で、どんな人生を送ってきたのか、知りたいのだろう?」

私がコクリと頷くと、カラルさんはニコリと笑ってから話し始めた。

「君の父親のヴィンセントは、明るく真面目で困った人は放っておけないような優しい男で正統派な絵を描く男だった。ここは芸術家しか居ない島、芸術に秀でていれば賞賛される。絵に長けた兄を持ち、さぞ比べられたこともあっただろうが、ヴィンセントは一度も兄のアーティルスや他の誰かに当たり散らすことはしなかった。小さい頃から芯のある強い少年だったさ。君は、顔は母親に似ているが性格や絵の感性は父親に似ている気がするよ。」

覚えていない父親の存在が、はっきりと見えてきたような気がする。

「弟に対して兄のアーティルスは昔から剽軽でガサツなやつだったな、そして何より絵の天才だった。だが、誰からも憎まれはしなかった。持ち前の性根の良さを島のみんなはわかっていたからさ。さっき君は父親に似ていると言ったが、あいつに育てられたんだってことは見ていればすぐにわかるよ。」

叔父さんは確かに剽軽で、そしてガサツだった。
絵の教え方と生活感も感覚的で適当。
良くエリシエンさんに怒られていたような気がする。

「そして、君の母親のフィクチュアはいつも冷静で物静か、だけれど心優しい女性だった。島の者が外に絵を売りに行った際、リノスくんを見たそうだ。彼は天才少年だと何かに載っていたから、みんな彼のことはわかっているんだ。リノスくんは冷静で物静か、母親にそっくりだと笑っていたよ。」

私とリノスは見た目が似ていると良く言われる。
だから容姿は母親譲りだが、リノスに至ってはその性格まで貰い受けたらしい。
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