第8章 芸術家たちの島
アルテ島で2年間過ごすと決意してから早1ヶ月が経った。
カラルさんに絵の基礎を教わりながら常に絵を描く毎日。
まだ絵を売りに出すことは認められていない。
少しでも早く絵を売ることが出来るように私はひたすらに絵を描いた。両親のこと、叔父さんのこと、聞きたい話は多いけれどまずは絵の上達が先だと思い、まだ何も聞いていない。
カラルさんの教え方はとても上手だった。
叔父さんはとても絵が上手くて確かに天才だったけれど、絵を教えることは上手ではなかったみたい。
めきめきと自分でも分かるくらいに絵が上達していく。
それは島の人たちにも褒めてもらえるほどだった。
島の人たちはみんな私に優しくしてくれた。
海賊だと分かっていても怖がることは一度もしなかったし、みんなは私をお母さん似だと言った。
それから、弟の存在もどうやら知っているようでリノスのことが度々話題に上がった。
リノスが海軍に入っていることで、姉弟が敵同士なのは大変だと言われたが私はそこまで大変だとは感じていなかった。
どこにいたって大事な弟、もしもリノスに何かあったら私はきっと仲間と離れることになっても助けに行ってしまうだろう。
少し前のルフィのように。
「さぁ、今日は油絵を教えよう。」
『えー!まだ水彩画を教わっていたいんですが・・・だって私が良く描くのは水彩画なんです、他の絵を練習したら絵を売るのが遅くなっちゃう。』
私が不満を言うと、カラルさんは「ダメだ。」と即答した。
「他の絵の描き方から学ぶこともあるし、描く対象によって画材道具や描き方を変えるのは大切なことだ。」
カラルさんの言うことに私は口を尖らせて、小さく「はい」と返事をした。
私が質問できる日はまだまだ先のようだ。