第8章 芸術家たちの島
- side ゾロ -
昼に稽古をつけ、夜はトレーニングをする。
ここシッケアール島に飛ばされ、鷹の目ミホークに教えを乞うてからの俺の生活は常に鍛錬だった。
勿論、飯も食べて睡眠も取る。
時には休息も必要だ。
俺は一旦トレーニングをやめて地面に座り込んだ。
こうしてジッとしていると、頭の中であいつの顔が浮かぶ。
手の届く範囲にいた、それなのに俺の目の前であいつは消えた。
俺は、助けることが出来なかった。
もしかしたら、俺と同様に何処かへ飛ばされてるかもしれない。
ルフィは一味の誰とも一緒にいなかった、全員がくまの野郎に飛ばされた可能性は十分にある。
だが、そうだとしても自身の力不足は否めない。
消える直前、目が合った。
『ゾロ。』
クレアが俺の名前を呼んだあの声が嫌に耳から放れてくれない。
悲しい思いはさせたくない、そう思っていたはずなのに。
俺はまたあいつを悲しませてしまった、心配させてしまった。
そう考える度に自分の弱さを自覚する。
いつしか、あいつの隣に心地良さを感じていた。
気が付いたら守りたいと思っていた。
それは、いつからだろう。
あいつの強さを知ったときからか、それとも弱さを知ったときからか。
なんだって良い。
二度とあんな顔はさせない。
2年後までに俺は今より何倍も強くなる。
そして、もう2度とあんな表情はさせない。
俺は立ち上がり再びトレーニングを始めた。