第8章 芸術家たちの島
しばらくアルテ島で大人しく身体を休めていた。
アルテ島は"偉大なる航路"に位置すること、シャボンディ諸島までそこまで遠くはないことがわかった。
また、色々な絵を描いたり教えて貰ったりして、初めて出会うたくさんの芸術家たちと芸術について語り合う日々の楽しさを噛み締めていた。
だって、一味のみんなは全然芸術についてわからないんだもの。
だけれど、やっぱり彼らとの日々が恋しくて仕方がない。
それに、最後のゾロの顔も忘れられない。
いつだって、してくれたことを彼に返せてない。
助けてくれるのに、私はいつも助けられなくてもどかしい。
「準備は出来たかい?」
カラルさんに声をかけられ、私は「はい」と返事をした。
今日はちょうど潮の流れが変わる、今日島を出なければ次のタイミングはまた1ヶ月後だ。
定期的に絵を売りにいく船があるらしく、その定期船が今回は出るとのことでそれに乗せてもらうことになった。
島の人たちと別れるのは寂しいけれど、だけれど私は行かなければいけない。
『みなさん、短い間でしたがたくさんお世話になりました!また、いつか絶対にこの島に遊びに来ます。』
私が別れの挨拶をすると、島の人たちはとても悲しんでくれた。
「体に気を付けて」だとか「まだもう少しいたらどうだ?」とかたくさん声をかけてくれる。
もっと別れが惜しくなってしまうじゃないか。
『じゃあ、みなさん!行ってきます!』
私がくるりと後ろを向き、歩き出そうとすると頭上にバサリと何かが落ちてきて「いてっ」と私は小さく呟いた。
何だ、と思って落ちたものを拾ってみると新聞だった。
それを広げてみると、そこにはルフィが載っていた。
『えええ!?ルフィ!?』
私の叫び声に、島の人たちは何だと群がり出す。
そこにはルフィが黙祷している写真があった。
何でルフィがこんなことを?いや、きっと何か意味があるはず。
私は記事を読んでから、その写真をじっと見つめる。
しばらく考えてからルフィの腕に目がいった。
『3D・・・2Y・・・。』
私は考え抜いた末に、ルフィのメッセージに気がついて島の人たちに向き直った。
『みんな、ごめんなさい!!あと2年、お世話になります!』
私の言葉に島の人たちは「ええええ!?」と声を上げた。