第7章 また会える日まで (シャボンディ諸島編)
「シャンクスが君に話していないことまで、私がベラベラと喋るわけにはいかんのでな・・・とにかく、ここまで良く辿り着いた!"新世界"であいつは君を待ちわびているだろう。」
「そうかな!俺も会いてェなぁ〜!」
レイリーさんの言葉にルフィがニコニコしながら言った。
「君のことも知ってるよ、クレア。」
突如投げられた言葉に私は動揺した。
私が生まれてから叔父さんが死ぬまで、レイリーさんと会ったという事実はなく、いったいどうして私を知っているのか不思議でたまらなかった。
「何故知っているのか、という顔をしているな。エリシエンという画家が昔私を訪ねたことがあった。そしてアーティルスからの手紙と1枚の写真を渡したのさ。」
ほら、とレイリーさんが見せた写真には笑顔で私とリノス、そしてアーティルス叔父さんが写っていた。
「姪と甥がどうとか長たらしく書いてあってなぁ。」
レイリーさんは、ハハハと軽快に笑って見せた。
その姪と甥というのは、私とリノスのことだとすぐにわかった。
「それから小さな絵も寄越したよ。アーティルスの作品だ、これも売ればとてつもない額になるのだろうな。」
レイリーさんが見せてくれた絵はハガキほどの大きさで、広い海を前に立つ男の絵だった。
それがきっとレイリーさんなのだと何となく察した。
それから、再び私は写真に目を落とした。
私もリノスも思い出の品なんて一つも持ち出せずに島を出た。
「あの、この写真・・・頂いても良いですか?私、写真なんて一つも持っていないんです。」
私が懇願するようにレイリーさんを見つめると、彼はニコリと笑って小さく頷いた。
「事の次第は知っている、辛かっただろう。勿論それは君が持っておくべきものだ。」
「ありがとうございます。」
私は、それが世界一大切なものであるかのようにジッと見つめて大事にしまった。
まだ、ルフィたちに話せていないことはたくさんある。
だけれど、話さなくても良いものなのかもしれないとも感じている。
必要になった時に話せば良いと、私はその機会を永久に先延ばしにしていくことだろう。