第7章 また会える日まで (シャボンディ諸島編)
「で、海を制覇したあとは?」
サンジがレイリーさんに問いかける。
「そこからだ・・・ロジャーは世間から"海賊王"と呼ばれるようになった。何もずっと海賊王だったわけじゃない、死にゆく男に称号など何の意味も無い・・・だが、ロジャーは喜んでいたな。」
レイリーさんの話を私たちはジッと耳を傾けて聴いていた。
船長命令によってロジャー海賊団が解散し、仲間たちが今やどこで何をしているかわからないこと、それから1年がすぎた頃にロジャーが処刑されたこと。
「世界政府も海軍も驚いたろう、他の海賊たちへの見せしめのために行った公開処刑の場が、ロジャーの死に際の一言で"大海賊時代"の幕開けの式典へと一変したのだからな!残り数秒、僅かに灯った"命の火"を奴は世界に燃え広がる"業火"に変えた。あの日ほど笑った夜はない!あの日ほど泣いた夜も・・・酒を飲んだ夜もない!我が船長ながら、見事な人生だった・・・!」
レイリーさんが話し合えるまで全員が1人も口を開かなかった。
それからナミとウソップが凄い話を聞いてしまったと口を開き、まるでロジャーが意図して時代を作ったようだと感想を述べた。
「今の時代を作れるのは、今を生きてる人間だけだよ。あの日、広場でロジャーから何かを受け取った者たちが確かにいるとは思うがね。君のよく知るシャンクスもその1人だろう。」
「え?おっさん、シャンクス知ってんのか?」
ルフィの問いかけにレイリーさんは"バギー"という海賊の名を上げた。それを聞いた時にナミとゾロは苦々しくその名を口にした。
どうやら良い思い出があるわけではなさそうだ。
「アレは2人ともウチの船で見習いをやっていた。」
「えー!シャンクスは海賊王の船にいたのか!?」
ルフィは、ぶはっと食べていた食べ物を口から吹き出しながら驚きの声を上げた。
ただただその光景が汚いと私は眉を潜めてしまった。
シャンクスはルフィの被っている麦わら帽子の持ち主で、ルフィがとても慕っている海賊で、だからこそその事実をルフィが初耳であるということに私は少し驚いた。
どうやらレイリーさんがルフィを知るのは以前にシャンクスからルフィについて聞いていたからであるらしい。