第6章 海の上での賑やかな日々
「苦しんで・・・溺れ死ね!」
ザブゥーン!とサンジは海に沈んでいく。
助けたいけれど海の中では私やルフィのような能力者には手に負えない。そしてトビウオは泳ぐスピードが早く魚人でも追いつけないとデュバルは豪語した。
「"黒足"の奴が次に海面に出てくる時は憐れな"水死体"だ。」
私はサニー号の手すりをギュッと掴みながら海面を見つめる。
こういう時に無力だと感じる、海賊をやるには能力者の代償は大きすぎる。
「大丈夫だよっ!」
「ケイミー!」
ケイミーが海に飛び込む。
トビウオは確かにトップクラスに速い魚だが、人魚はその中でも頂点に立つ種族だと聞いたことがある。
きっと、ケイミーならサンジを助けてくれる。
そう願っていると海からザザザ・・・と音がして何かが上がった。
『な、何、あれ!?』
「巨大船の錨か、デカすぎる!」
フランキーがその物体が何かを口にする。
こんな物が落ちてきたらひとたまりもない。
「照準、麦わらの海賊船!ど真ん中に当てて沈めろ!能力者もいる、海中戦ならこっちのもんだ!」
デュバルは錨を船に突撃させて、船もろとも私たちを沈めるつもりらしい。
「こりゃまずい!一発で沈んじまうぞ!」
『どうしよう!!』
私は側にいたロビンにギュッと抱きつく。
フランキーとウソップは何か秘策があるのか船首付近へ移動する。
「落とせー!」
錨が落ちてくる。
秘策は!?とフランキーたちの方を見ると、サニーのたてがみが回っていた。思わず『んえっ!?』と二度見してしまった。
「緊急回避、秘密兵器!"チキン・ボヤージ"!」
船に落ちてくると思われた錨が前方にあり海に落ちていった。
たてがみが回り、風圧で船が後退して避けたのである。
それは確かに秘策すぎる。
「避けただけで終わると思うな!」
ウィーンと音がして何かが開いたようだ。
一体何が開いたのかは見えないけれど。
「"ガオン砲"!」
サニーから何かが発射して多くのトビウオとアジトが吹き飛んだ。
避けるだけじゃなく反撃するとは、驚きだ。
「スッゲェー!!」
サニー号の思いがけぬ威力に隣でチョッパーが騒いでいる。
その様子が可愛くて仕方がないのだが、愛でている場合ではないので一旦落ち着くことにする。