第6章 海の上での賑やかな日々
「まだまだ、俺は甘い・・・!」
親指一本で、1トンものダンベルで負荷を掛けながら逆立ち腕立てをするゾロを横目に私はレッドラインを入れた海の絵を描いていた。
何度考えても親指一本で出来る意味がわからない。
バケモノか。
しかも床がミシミシ言ってるんだけど、これ抜けたりしないよね?大丈夫だよね??
『ああああっ!!』
「うるせェ!」
ゾロがダンベルをドン!と置いたために振動で揺れて筆がズレてしまった。
『ちょっと!静かに置いてよっ!ズレたじゃん!』
「じゃあここで描くなよ。」
『ここからの眺めが1番風景を描きやすいのっ!』
あー、修正出来るかなぁと思いながら絵を描き続けているとガタリと船が動いた。
『あれ、出発かな?』
「魚人島への行き方がわかったんじゃねェか?」
私とゾロは手を止めて下へ降りる。
私が下へ降りるハシゴに手をかけるとゾロが私を抱えた。
『え。』
「飛び降りた方が早ェだろ。」
心の準備も出来ていないまま、ビュンとゾロが飛び降りた。
『ええええええっ!?』
私の叫び声が響くも、ゾロはスタンと静かに着地をした。
『し、死ぬかと思った・・・。』
地面に降ろされ足をついてやっと自分が生きてると実感する。
きっと私は今、顔面蒼白になっていることだろう。
「ゾロ、クレア。」
ルフィが私とゾロの名を呼んだ。
「もう船を出すんだな、魚人島へ行けそうなのか?」
「それよかコイツ見ろ、人魚のケイミー!本物だぞ、スゲーんだ!」
ゾロの質問を無視してルフィはケイミーを私たちに紹介した。
「こんにちは!」
そう挨拶するケイミー、めちゃくちゃ可愛い。
「へェ、人魚か・・・。」
ゾロがそう呟く。
一瞬、人魚の姿を思い浮かべたが思い出してはいけないような気がする。
「『初めて見た。』」
「消した!今記憶を消した!!」
私とゾロが声を揃えて言うとチョッパーのツッコミが入る。
消したのではない、上書きしたのだ。
どうやら兎を殴った際に出てきたのが人魚のケイミーとヒトデのパッパグらしく、お礼にタコ焼きを作ってくれると言ったが、友達が捕らえられていてそれを一味で救出することになったようだ。
しかも魚人島への行き方も教えてくれると。
魚人島への道のりは近そうだ。